インターナショナルスクールには日本の学校のPTAと似たような組織があります。PTAと似た存在として機能しているものに
・Family Association(家族会)
・先生方とで成り立っているSchool Council(学校評議会)
があります。
この会合では、学校現場におけるあらゆる議題が話し合われます。保護者側からは代表役員が出席し、学校側からは校長先生、各学年の代表の先生、安全管理担当者などが出席します。議題によって参加するメンバーも変わります。
このコラムでは、インターナショナルスクールのPTAに近い組織であるFamily Associationの内容と保護者の関わり方について、事例とともにご紹介します。
インターナショナルスクールのFamily Association とは
1年を通して常にインターナショナルスクール側との対話の機会を準備してくれているFamily association は、保護者のボランティア精神により成り立っています。
インターではどの学年でも生徒の出入りが激しく、校内の様子も常に目まぐるしく変わります。海外から転勤族のご家庭が多く、常に編入生徒や転出生徒がいるためです。
そんな状況の中で多言語を話し、異文化の背景を持つ生徒とその家族のために、保護者は全てを学校に任せきりにするわけにはいきません。自分達も学校をよくするために、何らかの形で関わりを持てるように、このAssociationがあります。
(1) 保護者はFamily Associationに全員入会する必要がある?
Family Association は、必ず入会しなければならないというものではありません。
新学期の始まる9月の初日は、多くの保護者が生徒に付き添って校門まで来校します。(入学式、入園式、全学年がそろって校長先生の話を聞く全校朝会などは一切ありません。生徒は校門脇の壁に貼られたクラス名簿から自分の名前を探してクラスメイトと集まり、先生と一緒にクラスに入り、いきなり授業が始まります。)
この日から約1週間ほど校門の前で、Association の有志により保護者への勧誘があります。子供たちを送迎してきた保護者に対して声掛けが行われ、入会を勧めます。
校内に兄妹が何人通っていても、1家族で数百円の支払いが1年間の会費となり、その後定期的にメールで様々な情報が送られてきます。メールは英語と日本語です。英語のみの時もあります。メールが英語のみでも諦めず、単語を確認しながらしっかりと把握することが、保護者として求められる大切なことです。
(2) 役員の選出方法
Association のboard members(役員)は9月中に決まります。立候補をしている役員名が知らされますので、賛成か反対かの返事をします。投票結果を受け、選ばれた役員は校内の会場にて顔合わせをし、会員に向けた挨拶など行われます。
(3) Family Associationではどんな活動が行われている?
Family Associationは保護者のために様々な形で情報交換の場を設けてくれます。
数か月に一度、カフェスタイルでお茶を飲みながら、悩み別もしくは子供の年代別にグループを振り分け、自由に意見交換や体験談の交換が行われます。
言語は様々なものが飛び交いますが、参加にあたっては自分のロール(役割)を明確にすることが大切です。
- バイリンガルのご家庭
- 学校から帰宅後は全く英語を話さなくなってしまうご家庭
- 逆に日本語がおかしくなってしまい、正しい日本語が使えなくなってきているご家庭
など、同じ学校に通っていながらにして異なる環境の保護者が集まります。
(4) Family Associationで会員はどんなことが出来る?
学校に対して疑問に思うことなどを、自分より高学年のお子さんを通わせている親御さんに直接質問することができ、経験談も聞けますので、生の声が聞ける貴重な時間です。
特に進路に関して、
- 校外でどんな習い事をさせるか
- 日本の教育システムに戻すときにはどのタイミングがよいのか
- 海外の学校に行くにはどのタイミングでどんな学校がよいのか
といった話題はいつも白熱します。
インターナショナルスクールに通わせている親御さんの悩みは、似たり寄ったりのものも多く、国際結婚ならではの子育ての仕方から、日本での日常生活の悩み、といったものまで話題は多岐にわたります。
国籍は関係なく保護者としての意見交換となりますので、自分の意見を話し、相手にしっかりと丁寧に伝えられるように準備しておくと情報交換がスムーズに進みます。
学校に対する不満や疑問も、この場で代表役員に伝えると学校側へ伝えてくれます。会費を払っていないAssociation 会員以外の方も、懇談会への参加や学校評議委員会への質問・疑問の投げかけは、お願いをすれば聞き入れてもらえます。
インターナショナルスクールでの保護者の関わり方
Family Associationのboard members(役員)にならなくても、保護者の関わりが多いのがインターナショナルスクールです。
Family Association を通してではなく、学校側から直接、保護者に仕事を頼まれることが行事の度にあります。校長先生や担任の先生からクラスの保護者代表を通して、または担任の先生から直接、メールやメモで通達されます。(子供が連絡帳にのりで貼り付けて持って帰ってきます)
学校からどのようなことを依頼されるのか、年代別に内容をみていきます。
インターナショナル幼稚園での保護者の関わり方
新学期が始まると、各クラスで保護者会が開かれます。(9月下旬)そこで、クラスの保護者代表を決めます。ネイティブのママ(パパ)1人~2人とバイリンガルのママ(パパ)1人~2人の合計4人ほどが必要です。だいたいすぐに数人の保護者が率先して引き受けてくれます。
この保護者代表者が担任の先生と生徒達のパイプ役となり、連絡事項を流したりメールアドレスの管理をしたりします。
英語、日本語ともに話せることはもとより、読み書きができることが望ましく、仕事は沢山はありませんがネイティブのママ(パパ)と協力してお仕事をすることになります。
クラスの代表者は担任の先生からの連絡を受けて、各保護者へ様々なインフォメーションを伝達します。例えば、お手伝いの募集が頻繁に入るのは、
- 遠足の引率
- 読書会のお手伝い
- クリスマスマラソンのお手伝い
- ダンス発表会の衣装の準備
などです。
遠足での保護者ボランティア例
保護者ボランティアはどんなことをやるのでしょうか。例として、遠足の場合をみてみましょう。
日本国内での遠足ですので、バイリンガルの保護者が求められます。遠足は、美術館や動物園、水族館、遊具のある公園などにスクールバスを使って行きます。
保護者ボランティアは、ケガをしたときの対応やお手洗いへの引率、ランチ時のお手伝いなど、ネイティブの先生とアシスタントの先生のサポートをします。
様々な言葉が飛び交い大賑わいですが、文化の違いもありますので周りに迷惑がかからないようにしっかりと、子供のわかる言葉で注意することが求められます。
例えば、美術館に行くと、欧米の子供たちは好きな絵の前にあぐらをかいて座りこみ、じっくりと鑑賞しながら感想をノートに書き込んだりします。他の来館者の流れに乗ることができず注意されたこともありました。
水族館では飼育員の方から質問があると、日本語でなくても積極的に何人も質問しますので、他の幼稚園の園児さん達の質問時間がなくなってしまいそうになったこともありました。
ボランティアの保護者は常に周囲の様子に目を配ることが求められます。
年度末に渡す先生へのお礼のとりまとめ
年度末(6月下旬)に各クラスで行われる歌やダンスの発表会の後に、お菓子と飲み物を持参した懇談会があります。その際に任意ですが、担任の先生とアシスタントの先生にお礼を渡すのが慣例になっています。
過去のお礼の例として、お花やエステ券、デパートのギフト券や輸入品の食材の詰め合わせ、といったものもありました。
代表者はお金の集金からプレゼント内容の選択、買いもの、当日の準備などを行います。金額は固定の場合(1000円等)もあれば、お好きな金額で、という場合もあります。
保護者の集まる学芸会の日(お別れ会の1か月前ほどから2クラスくらいずつで行われます)に集金をしたり、スクールバスの子の場合、リュックサックに現金を入れてあるのでピックアップして欲しいとママから頼まれることもありました。
インターナショナル小学校では通訳のような役割も
小学校になると、同じような役割の父兄代表が1クラスに1~3名ほど必要となります。幼稚園と同じように、各クラス新学期の保護者会の日にクラスの保護者代表の立候補を募ります。通常は、ほぼスムーズに決まります。
小学校になると、保護者代表以外のママ、パパたちの役割も、通訳に似たようなものが増えてきます。
例えば、「日本の日」という日本文化に触れる学習日があります。その日は書道、華道、柔道、折り紙、けんだま、羽子板など、日本文化に触れることが出来きます。保護者の中から経験者や指導ができる人は、お願いされて子供たちの前でプレゼンテーションをします。もちろん英語で行うことになります。
外部から教えて頂く方をお招きした場合は、保護者が通訳となり子供たちに説明を行います。これは大変責任のある役目で、授業の内容に保護者として深く関わることになります。
他にも工場見学やごみ処理施設等に行ったことがありますが、グループごとに振り分けられ、保護者が先生と施設の方の間で通訳的な仕事を任せられます。
学年末の文化祭では売店の店番やフリーマーケットの管理など、日本の学校のお祭りでの仕事と似たような活動を行います。
インターナショナル中学/高校では様々な課題への対処や調整もAssociationの大事な役目
中学/高校でも、まずは各クラスごとにクラス代表という任務を任される子供(男子女子各1名+控えの男子女子各1名)に加えて、保護者からも1~2名ほどの保護者代表が決まります。子供がクラス代表、そして保護者もクラス代表になると進路に良い影響があり、先生方への印象も良くなる、というまことしやかな噂が流れたこともありますが、その信憑性はわかりません。
保護者代表以外の親たちは、学校側への希望や要望を代表者を通して伝えることになります。先日もメールが来ましたが、希望、要望だけではなく「こんなことをしてくれてよかったよ!」というコメントも募集していました。
中学、高校となると、Family Association の存在も重要になってきます。
親も子も、様々な進路を切り開くために、義務教育の最終過程に取り組んでいます。困ったことや不自由に感じたことを相談する機会も増えます。学校に対して期待していること、もっと力を入れて欲しいことなど要望も微妙に変化していきます。
子供たちの服装1つをとっても、日本の中学、高校とは比べられないほど自由なゆえ、問題も発生します。アクセサリーや髪を染めることは問題にはなりませんが、校内での飲食や、公共交通機関を利用するマナー、近隣住民から苦情が来た場合の対応など、Association と学校サイドが一緒に解決していかなければならない問題が発生します。
欧米では普通と思われることが、日本ではありえない、ルール違反に近いと思われるような、一律のものさしで測れないことが多々起こります。
日本人の保護者としては、日本にあるインターに通わせている以上、どちらの文化もリスペクトしつつ、学校と地域社会が融合できるように役割を果たすことが重要です。話し合いでは常に毅然とした態度が求められます。公平さを忘れず、感情的にならず、かつ言葉を濁さずクリアにメッセージを伝えることを心がけます。結局はどっちなの?と相手に思われないような、明確な答えを求められていることを保護者は忘れてはなりません。
インターナショナルスクールのPTA/保護者の関わり方まとめ
インターナショナルスクールでPTAに似た組織であるFamily Associationの内容や役割についてご紹介しました。
実に様々なバックグランドを持つ人たちの集まりとなるインターナショナルスクール。保護者として、日本人として、自分の意見をはっきりと言うことが必要です。国籍などで相手の言い分や状況を判断せずに、学校と1人1人の生徒の立場を考えて発言や行動できるような多様性を、心に留めておくことも大事なことです。学校からお願いがあるお手伝い等にも、時間が許せば積極的に参加してみてください。色々な発見があります。
様々な国の家族と出会えるなんとも貴重な体験を親として味わえるのが、子供をインターナショナルスクールに通わせる醍醐味でもあります。その経験を丸ごと楽しんでみましょう。
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