日本各地に点在するインターナショナルスクールには様々な種類があります。インターはバックグラウンドが異なるため、雰囲気や校風はスクールによって異なるものの、インターと日本の小学校では根本的な違いがたくさんあります。
インターナショナル小学校に3人の子供を通わせていた筆者が、インターの小学校と日本の小学校の違いについて気が付いたことを9つ挙げてみます。
1. インターの年間スケジュール・入学/卒業時期・夏休みの過ごし方
日本の学校は学年の始まりが4月で修了は3月。
インターでは入学と学年の始まりが9月、学年修了と卒業は6月となります。
学年の変わり目の7月と8月に2か月間の長い夏休みがあります。
その他に
・聖人を祝う休暇(カトリック系)
・感謝祭休暇
・クリスマス休暇
・冬の休暇(クリスマスとは別枠)
・イースター休暇
と日本人にはなじみのないものも含めて、それぞれ2週間ほど休暇が設けられます。この休暇では、中学年以降は宿題もそれぞれの科目から出されます。例えば、英語本を1冊読み、休み明けに読解テスト。日本語でのエッセイや絵日記、読書感想文。算数の計算問題などです。休暇中は有料で校内学童があり、授業こそありませんが色々なアクティビティーが用意されています。
日本の小学校へ途中から編入するため、インターナショナルスクールを退学するお子さんもいます。2月のバケーションが終わると、突如として日本人のお子さんがいなくなっていることがあります。お別れ会を開いたり他の保護者への連絡などは一切ありませんので、ママ同士の世間話等から、そのお子さんは中学受験をするため日本の小学校に編入したと知ることもあります。
将来的に日本での進路を決めているのならば、親御さんの判断で、低学年・中学年はインターで過ごし、高学年は日本の小学校に戻り、受験対策を行う方もいます。インターに途中編入してくる日本人のお子さんは、ほぼ帰国子女のお子さんです。海外での生活が長く英語教育の継続を希望し、再度海外へ渡ることがわかっているような状況のご家庭です。
インターでの夏休みの過ごし方について
2ヶ月の長い夏休みは、学年が切り替わる時期ですので宿題は全くありません。しかし多くのご家庭では、夏休み用の問題集を購入し、子供に取り組ませています。オール英語の問題集で、算数、理科、社会、歴史などをゲーム感覚で勉強できます。いくつかの出版社から同じような内容で販売されています。書き込むタイプで1日分20分ほどで終わる内容です。英語で問題を解く、という感覚を忘れないようにするためには、夏休みの問題集は大切です。
夏休みの過ごし方はそれぞれ家庭により事情が違いますが、オンライン成績表が最終日の1週間前に送られてくると、本国にてバケーションを過ごすため、最終日を待たずに1人、2人と学校に来なくなるケースもあります。
これは一時期問題になりそうでしたが、学校側もとりたててその現象に注意喚起することもなく、夏休み前は子供たちもどんどんバケーション気分にモードが切り替わっていきます。最後の1週間は、映画をみたり皆で本を読んだりと、すっかりとリラックスな雰囲気になる場合もあります。(主に低学年)
日本人のご家庭でも、英語をブラッシュアップするために短期で母子留学、英語圏にロングステイする方もいれば、7月中は日本の小学校に通学させる方もいます。地域によっては公立小学校で7月末までの数週間、生徒として受け入れてくれます。
2.インターの年間行事
インターナショナルスクールでは、始業式、終業式、卒業式といったセレモニーはありません。始まりも終りもいつも通りの雰囲気で、規律を感じずリラックスしています。
日本の小学校にありインターにない行事
日本の小学校にあってインターにはなく、驚いたものがいくつかあります。
・運動会
・林間学校 (不定期であるが、計画したいと思う担任にあたれば実施されることも)
・保護者参観日
日本の小学校になくインターにある行事
日本の小学校になくてインターにあって驚いたものもいくつかありました。
・謝肉祭のカーニバル (仮装をして踊る、全学年参加、)
・クリスマスマラソン (チャリティー形式、マラソン時に帽子を買って慈善団体などに寄付)
・戦没者追悼、戦士兵遺族へのチャリティーイベント
・学年末のお祭り (幼稚園~高校生まで合同、アルコール類も販売され保護者はパーティー状態)
インターの学校行事は全体的に少ないと感じますが、小さなイベントは直前の連絡で様々な形で行われます。
ヨーロッパからの車いすラグビー選手団試合応援や、国際交流を兼ねた音楽会、地元の小学校との文化交流など、学校カレンダーには記載されていない、色々な催しを学校側がセットアップしてくれ、子供達は多様な経験の機会をもてます。
テロ対策や地震に備えての全校訓練は、日本の学校と同じように定期的に行われています。個人的な見解ですが、危機管理に関しては、日本の小学校よりも意識が高いと感じます。
3.インターの始業時間/終業時間/1日のスケジュール
始業時間・就業時間
授業の始まりは8:30。朝礼、朝の集まり、先生のお話しなどなくいきなり授業がスタートします。
授業の終わりは15:30。終礼、夕方の集まり、先生のお話しなどなく一日が終了です。先生方は自分の勤務時間が終わると、子供達と同時に校門を出て帰宅し、子供達がのんびりと校門から出ていくよりも早く、かけあしで帰宅する光景もみられます。教師としての勤務時間が終われば、きっぱりとプライベート時間にきりかえるのがインターのスタイルです。
水曜日は半日で、終わりは13:00。お昼ごはんを食べて帰宅となり学習時間が短くなります。土曜日が登校日ということはまずありません。1年生からこのスケジュールなので、低学年は夕方にはかなり疲れています。
校内清掃や教室の掃除時間は設けられていません。これは残念なことで、日本の小学校のように取り入れて欲しいと常に感じています。
通学の仕方
インターへの通学の仕方は様々です。
・スクールバス
・電車、バス、地下鉄などの公共交通機関
・自転車
・徒歩
・車での送迎も可。大使館ナンバーの車でお手伝いさんの送迎もよくみかけます。
1コマの授業時間と授業の進め方
1コマの授業が45分間~1時間、ブレイクは10分~15分が基本的なパターンです。日本の小学校に比べれば、全体的に自由度はかなり高く、スケジュールも各教師のスタイルでフレックスです。
授業はクラスによって、机の配置からカリキュラムの進め方が全く違います。先生によっては2週間に1度、席替えをしたり、机の縦並べを輪にしてみたり、一人ずつにしてみたり、3人で1列を作ってみたりと様々です。バランスボールやソファを置いてあるクラスもあります。
コンピューターのクラスでは、スペシャリストの先生を他の学年から呼んでみたり、詩の朗読に担任の先生がギターの演奏をつけたりと、進め方に個性が表れています。クラスの平均点やテキストの進捗状況を、グラフにデータ化して定期的に保護者とシェアする先生もいれば、算数の問題を解く時に、個人間の競争ではなく少人数のグループで解かせ、グループ間で競わせる先生もいます。
昼休み時間の過ごし方
昼休みには、生徒は全員外に出ます。教室に残って本を読んだり、お絵かきをすることは出来ません。小雨くらいでしたら屋根の下で、とにかく外で過ごします。
先生ではなく指導員的な役割のスタッフが、簡易救急道具を持って子供達を見守ります。担任の先生が一緒に鬼ごっこや縄跳びをすることはまずありません。先生は先生の休み時間、という認識でしょう。学校周辺を音楽を聴きながらジョギングしたり、近辺を散歩していたりと、子供達と同じように昼休みを楽しんでいる先生もいます。
低学年では、日本語禁止で遊ぶよう先生から指導があったこともありました。夢中で遊んでいる時はついつい母国語でなってしまいますが、だんだんと共通語である英語が主流になってきます。
4. インターでの昼食の取り方、アレルギー対応について
昼食は教室での給食配膳ではなく、カフェテリアに移動します。列に並んで手洗い(ハンカチ、ティッシュなどを日本の学校のように持参せず、設置されているペーバータオルを使う)を行い、自分でトレイをもって温かいものを列に並んで配膳してもらいます。
パスタソースを選べたり、野菜の量を増やしたり、大盛りを頼んだりも可能です。デザートは必ず毎日つきます。
パンのおかわりを配ってくれる人や、サラダのドレッシングをかけてくれるスタッフが在中していますが、沢山の野菜を残しているとデザートを配ってくれない、など子供達の食べる内容もチェックしています。お行儀についても細かくチェックされており、お行儀が悪いと親に連絡がきたり休み時間を減らされたりする場合もあります。
アレルギー対応について
アレルギーや宗教的バックグラウンドから食べ物に関する制限のあるお子さんに関しては、事前調査で学校とのやりとりを行います。本人はトレイに食べられないもののカードを置き、キッチンには子供の写真が貼られていて最終確認をします。その子供のために用意されたものを、配膳係のスタッフがのせてくれます。豚肉が食べられない子供には代用で鶏肉になったり、小麦アレルギーの子供にはケーキの代わりにフルーツが準備されています。
カフェテリアには電子レンジが常設されており、弁当持参を選択した子供は、自分のお弁当を温めて弁当専用テーブルで食事をとります。
5. インターでの宿題について
日本の小学校では黒板に書かれたものを自分で連絡帳に書き写す、というのが主流ですが、インターナショナルスクールでは、ネット上で宿題内容の確認ができます。
各クラスのブログに入ると、数日先までの宿題の内容を確認することができます。漢字テストの項目や、英語で暗記しなければならないページ数、ディクテーションの練習問題などをオンラインで確認できます。先生と生徒もこのオンラインシステムを使って、コミュニケーションをとることが可能です。
保護者としては、英語で書かれた宿題の意味をまず理解することが第一です。子供と一緒にひとつずつ確認しながら宿題をします。
高学年になると、歴史や社会、理科など英語で読まなければならないものの量が増えるので、まずは読むことが嫌いにならないようにすることが大切です。
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6. インターでの委員会や係活動について
日本の小学校にあるような係活動が存在しません。日直や給食当番といったルーティン的なものもありませんので、子供達はひたすら勉学に励むといった雰囲気です。
学級委員は各クラスごとに男子、女子各1名。副学級委員も男子女子各1名ずつ。校長先生との話し合いや委員会で、学校をどのように良くしていくか生徒の意見をまとめる役割を担います。選挙活動の仕方も大変政治的で、大人顔負けです。
7.インターでのクラブ活動について
クラブ活動は申し込み制で有料です。申し込みが受理された際に一年間分を支払います。
9月に内容が発表されて申し込みがスタート。定員に満たない場合、存続しないクラブもあります。活動は10月スタートで、6月末まで週1回1時間半~2時間ほど放課後に行われます。
クラブ内容により料金が異なり、外部からの講師を招いたり、校内の教師がクラブを受け持つ場合も多々あります。人気のあるものは順番待ち、キャンセル待ちになるものもあります。
校外の習い事よりは値段が安く、英語で習い事が出来るので、週に3つのクラブを利用しているご家庭もあります。例えば、
・チェスクラブ
・バレエ
・曲芸クラブ
・マルチスポーツクラブ
・日本語クラブ
・英語クラブ
などがあります。
1年生から参加できるものも多くあり、低学年グループ、高学年グループと分けて活動するので安心です。
8.インターの制服/持ち物/教科書について
インターでは制服はなく、名札もありません。カバンも自由ですが、ほとんどのお子さんがリュックサックです。
担任から年頭に、どのような文具を用意すればよいか連絡があります。英語ですのでしっかりと確認する必要があります。日本で入手困難なものもありますが、担任の先生によっては全て準備してくれる場合もあります。(全て必要なものが入っている筆箱を1人一つ支給など。補充は自分で行います。)
教科書はレンタルで、保護カバーをつけるように要請があります。歴史、算数などは数年間、数学年の子達で順番に使い続けます。
携帯に関しては特に規則は設けられていません。校内で使わなければ持参は可能です。
おやつの持参はバスや学童保育の子供たちは許されていますが、お友達同士での交換は禁止です。
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9. インターでの保護者の学校参加について
学校を通しての親同士の交流は小学校では少ないでしょう。遠足や社会見学の補助のボランティアは、仕事をしていないママでだいたい同じメンバーになるため、クラスのパパ、ママに会う機会も年にほんの数回です。
低学年では年頭に保護者会があり、クラスごとの顔合わせもありますが、それ以外はほとんど集まりがありません。
インターの幼稚園では行事が多いですが、小学校に上がるとすっかりと行事が減ります。子供を通してお友達を作ったり、送迎の際に積極的に英語で話しかけたりしながら、ママ友を作ることになります。バス通学のピックアップ場所でお友達ができて、ヨガや料理教室など英語での習い事を外国人のママと一緒にしている人もいます。
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インターナショナルスクールと日本の小学校の違い まとめ
インターナショナルスクールと日本の小学校では、小さな事から大きな事まで様々な違いがあります。
多言語が飛び交い、肌や髪の色の違う子供達が一緒になって遊んでいる光景は、インターナショナルスクールならではです。先生方は英語力が衰えないよう、日本語が教室で聞こえないように様々な配慮を行っています。
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